長田の奥座敷「丸山」の可能性【下町芸術大学レポート】 2021.11.05

10月24日(日)15時過ぎから、丸山地区の旧大日温泉にて“長田の奥座敷「丸山」の可能性“と題して豪華ゲストによる講座が行われました。下町芸術祭最後のイベントということもあって多くの方たちが参加しました。参加した方の多くは丸山地区や近辺地区の住民でしたが、中には遠方から来られる方も見られました。丸山の町としての可能性を語るゲストのお話を参加者たちは真剣に聞いている様子でした。

 

最初にお話しになったのは丸山プロジェクト代表の上野天陽さん。小さい頃から暮らしてきた丸山をこのまま廃れさせたくないと様々なイベントを開催し丸山の活性化に努めておられました。丸山地区は昭和初期から戦後にかけて神戸の奥座敷と呼ばれ賑わいを見せたが開発による人口流出もあって廃れていったといいます。丸山地区に住む参加者の中にはプロジェクターに映し出される丸山の懐かしい風景に思わず声をあげる方もいらっしゃいました。

 

続く神戸市で不動産を営む小泉寛明さんのお話では丸山の不動産としての魅力が存分に伝わりました。会場となった旧大日温泉を始めとして丸山には破格の値段で購入できる物件が多く存在するようで、町の活性化の可能性の高さがうかがえました。また同じくゲストの西村周治さんがそういった物件をたくさん購入されているという話が出ると参加者からは笑いの声が上がりました。しかし、そのリフォームは素晴らしく完成後の様子に参加者の方たちは感嘆の声をあげていました。西村さんはそういった廃屋を購入&リフォームを行っていることを伝え廃屋の可能性を存分にお話になりました。また今回の下町芸術祭の展示会場でもあるバラックリンも同じような廃屋でありその魅力に皆さん驚いているようでした。

 

最後にお話になったのはシオヤプロジェクトの森本アリさん。複数回の丸山探訪を通して気づいた住民すら気づかないような丸山の魅力についてお話になりました。坂道や細い路地などが多くどこを歩いても新しい発見があり、聞いているだけでワクワクするお話がたくさんありました。外壁の塗装が途中のまま売りに出されている物件や、人間乾燥機なる物が存在した銭湯など思わず笑ってしまうようだがどこか心温まる発見ができる、それが丸山の魅力であるとも感じました。

 

お話だけでなく会場では掘り出し物の家具が展示&販売されており破格の値段に満足げに購入されていくお客さんの様子が見られました。また展示会場である旧大日温泉の探索も皆さん休憩時間に熱心しており丸山地区への関心が高まるのが確かに感じられました。終了後もゲストの方にお話を聞きに行く丸山の方が見られ、丸山への愛が目に見えるようでした。2時間に渡る講座もゲストの方のお話や参加者の積極性もあって非常に楽しく皆さん過ごされていました。今後の丸山から目を離せない、そう強く感じました。

 

Text・Photo: Shusaku Shizuki