公式アート&まち歩きツアーレポート【下町芸術大学レポート】 2021.11.05

10月17日(日)午後、下町芸術祭の作品展示エリアである駒ヶ林地区を訪れ、アートに触れる「公式アート&まち歩きツアー」が開催されました。当日は天気も良く、約20名の参加者と配信ライブの視聴者と共に、展示作品をより深く味わい、まちの魅力を肌で感じました。

今回のツアーでは、駒ヶ林地区にある7つの展示会場を訪れました。各会場では、展示プログラム「豊かさの触感」ディレクターの小國陽佑さんと、講座プログラム「下町芸術大学」ディレクターの角野史和さんによって、会場紹介と作品解説をたっぷりしていただきました。

そこで駒ヶ林エリアは「角野邸」や「旧駒ヶ林保育所」のように建築年数が長く、歴史あるまちの重要な建造物や、「ジョブス・ペース・ラボ」や「閑居永門」のように事務所の跡地や古民家をリノベーションした地域の建造物を展示会場として使用していることを学びました。これらの風情とこだわりのある建造物に、様々な現代アートが上手く溶け込んでいました。また「駄菓子屋フレンド」や「二葉じぞう広場」は地域の方々に愛されている憩いの場で、展示作品と共に温かみのある生活空間に触れることが出来ました。下町芸術祭は地域全体での取り組みならではの建造物の使用とアートの融合によって非日常の別世界を作り出している空間であると感じました。

展示作品の中には、「鑑賞の代わりに、作品の一部を切り取り、持ち帰ってもらうことを条件」とした切り絵作品や、「来場者に水をかけてもらい、鉄錆が増えることで、作品が完成する」とい作品などの参加型アートがありました。そこで、鑑賞するだけでなく、作品自体に触れることで、新たな形となるアートの存在を知りました。

また、他の展示作品についても、どのような思いで作られたのかなどの解説を聞くことで、アートは“アーティストの好きなことや伝えたい考えが詰まっている奥深い表現方法”であると再認識しました。

ツアー途中、同日に開催されていた「遊合祭ゲリラパレード」に遭遇しました。明るい音楽にのせて、「来たぞ!来たぞ!今年も来たぞ!元気を届けに遊合祭が来たぞ!」と全員で歌いました。遊合祭ならではの明るさと盛り上がりで、その場にいた全員が笑顔になる非常に幸せな時間となりました。

ツアーを終えて参加者の方々は、「このツアーなしに下町芸術祭を訪れていたら、展示作品のことも、駒ヶ林の雰囲気も、深く味わえずに帰ってしまっていたと思う。」と、コメントされており、とても有意義な時間を過ごされていました。

私自身、ツアーを通して、展示会場や作品について多くの知識を吸収でき、現代アートの豊かさに触れることのできた濃密な時間となりました。また、指定の展示会場だけにとどまらず、駒ヶ林地区の路地が多い特徴から、歩いていてどこに行くのだろうとワクワクする童心の気持ちになったり、下町の雰囲気と風情ある建物の歴史から、地域の伝統と地域の方々の温かい暮らしの気配を感じることができたりと、駒ヶ林地区の様々な魅力を発見することが出来ました。

下町芸術祭は「まちを知ってもらいたい」「アーティストを支援したい」という2つの思いから2年に1度開催されています。ツアーを通して、展示会場やイベントの多くは、地域の場所や団体で構成されており、地域の方々の協力と温かい心がなければ開催できないアートフェスティバルだと学びました。下町に漂う暮らしの気配と、一歩踏み入れたときの非日常のアートの世界をどちらも体験できる、この貴重な下町芸術祭は今後も継続され、多くの人々に愛されるフェスティバルであって欲しいと強く感じました。

Text・Photo: Rui Yamamoto